クライミングによる手・指の痛み【関節 編】

クライミングによる手・指の痛み【関節 編】

医科学講習会で学んできたことをご紹介します。

日曜日、カメロをカレナちゃん&タケルくんに託して、キヨコは『クライミング医科学講習会』に参加してきました。

普段知り得ない専門的な知識を教えていただき、たいへん勉強になりました。開催してくださったJMSCAスポーツクライミング医科学委員会のみなさんや先生方に深く感謝いたします。ありがとうございました。

クライミングにはまっちゃうと、登り過ぎて手や指に痛みが出ることがあります。その症状について最も多い症例と対処法を教えていただきました。貴重な情報なのでシェアしますね!

-- 1 --カチ持ちやオープン持ちをしていて、ブチッ!やバチッ!などの音と共に手の平に激痛が走る。

【痛み】第一関節と第二関節の間を押すと痛い(前後&サイド)。手の平も痛い。
【状態】「腱鞘断裂」腱が強く引かれたために腱鞘が切れてしまった状態。
【対処法】第一関節と第二関節を伸ばした状態で固定(第三関節は曲げた状態が良い)。2週間くらい。2週間を過ぎたらテーピングで保護(3~6ヵ月くらい)。

-- 2 --ポケットなどオープン気味に保持したときに前腕に痛みが走る。

【痛み】前腕の真ん中あたりを押すと痛い
【状態】「屈筋腱移行部損傷」腱から筋肉に変わるあたりの肉離れ。
【対処法】安静にすればOK。3週間くらいで痛みが消えてくる

-- 3 --一本指ポケットなど指を単独で使ったときに手の平に痛みが走る

【痛み】指を1本ずつ曲げると痛い。手の平の真ん中あたりを押すと痛い。
【状態】「虫様筋損傷」指を単独で強烈に使ったために、手の平の筋肉が裂けた状態。
【対処法】安静にする。隣の指と2本一緒にテーピングして単独で動かないようにする。

-- 4 --④ 第二関節の慢性痛(子供)

【特徴】高校生くらいまで、骨には成長するための骨端線(成長軟骨でできた層)がある。その周辺は柔らかく骨折しやすい。
【痛み】第二関節の慢性的な腫れと痛み。
【状態】「骨端障害」カチ持ちの屈曲角度がキツ過ぎるため、骨端が指背腱膜に強力に引っ張られて骨折。
【対処法】5ヵ月安静。5~6ヵ月でくっつく。カチ持ちを多用しない。

-- 5 --⑤ 第二関節の慢性痛(大人)

【痛み】第二関節の慢性的な痛みと腫れ
【状態】「変形性関節症」軟骨の摩耗から炎症が起き、軟骨から骨棘というツンツンした骨が形成され、関節の可動域が狭くなる。
【対処法】慢性的な炎症が原因なので、できるだけ炎症を抑えるようにする。
※ 炎症を抑える方法はアイシング・塗り薬・レストなどあるが、どれが効果的かは検証中。各自で自分の体に合った対策を研究してみてほしい。

-- 6 --指から手の平の痛み

【痛み】第二関節と第三関節の間を押すと痛い(前後)。サイドも痛いときは重傷。
【状態】「腱鞘炎」腱鞘がむくんで動きが悪くなる。腱鞘は炎症を起こすと強度が低下する。
【対処法】炎症している(強度が低下している)状態で負荷をかけない。

外岩で指先を負傷したときや、登り始めたばっかりなのに指皮が痛いとき、まだ回復してないけどどうしても登りたいときなどは、テーピングで保護しましょう。

● 痛みは体を守るためのサイン。 痛みが生じた原因をよく考えて、同じことを繰り返さないことが大事。
● 屈曲角度に注意することとオーバーユースしないことで防ぐことができる。
● テーピングの強度は、腱鞘にかかる力の6分の1程度。従ってテーピングは保護であり、腱鞘の代わりにはならない。
● 痛みの周辺の筋肉は緊張しやすいので、よくストレッチしましょう。
● 損傷した組織を修復してくれるのはコラーゲン。コラーゲンを生成するにはビタミンCが必要なので、ビタミンCの服用は有効。

※ 講演で学んだことを分かりやすくまとめたつもりですが、認識・解釈の違いや聞き間違いもあるかもしれません。ご了承ください。